昭和33年3月29日に江古田一丁目の会社に就職しました。
あれから58年になりますが、その間に会社も変わり、野方に1年、江古田に3年、その後は沼袋2丁目にずっと住んでいます。東京に来てから中野区を出たことは一度もありません。いまでは中野が、平和の森公園が大好きです。
私は5年前に喉頭がんになり放射線治療をしましたが、2年後に再発し喉頭全摘出手術で永久気管孔になり声を失くしました。
痰が出るとテッシュでふき取らなければなりません。自分ではあまり気にしない積りでいるのですが、どうしてもがんが再発するのでは、転移するのではと考えてしまうのです。
でも毎日、雨の日でも平和の森公園に行きます。行くと必ず一本の楠の木(中野区から321の番号をもらっています)の所に行きます。一年中濃い緑の葉を茂らせていて、幹回りが155cmもある木で、地上4mくらいのところで3本の幹に分かれています。
木のもとから空を見上げていると、3本の幹がお互いに「一本がだめになってももう一本が」、「それがだめになってももう一本が」と、言っているように思えるのです。不思議ですねえ。
大きな木には魂が宿ると言われていますがそれかも知れません。
幹に手を当て、なでてパワーをもらっています。
そしてひろばではすずめやセキレイ、今の時期ではヒヨドリやツグミなどの小鳥たちに癒されたり、四季折々の風景を眺め、大勢の友人たちとスポーツやギャンブルの話を筆談で楽しみ、そして子供たちの遊びまわる姿に元気をもらっています。その時間が、まったく病気など忘れていられる貴重なひとときなのです。
幸いにも三カ月に一度になった検査でも何も問題がありませんでした。これも毎日パワーをもらっている楠の木のおかげかなと思っているのです。
その私の楠の木が少年スポーツ広場の拡張工事で伐採されるのではないかととても心配です。広場のまわりだけでも長い年月をかけて大きく見事に育った樹木が数多くありますが、私だけでなく、それぞれの人にとって、それぞれの木が思い出の木になっているのではないでしょうか。工事は1、2年で出来ますが、樹木が森と言われるまでには50年もかかるのです。
公園にはリハビリを兼ねて毎日のように来ている仲間も大勢います。「どの木が切り倒されてしまうのかな」「毎日自由に使えなくなるね」「仲間も来なくなって減っていくね」と心配する声が聞かれます。
私たちにとってパワースポットである平和の森公園は、中野区、いや東京都でも自慢できる素晴らしい自然いっぱいの公園だと思います。
伐採されてしまったらもう元にはもどせません。今ならまだ間に合います。
私の楠の木を、みんなの樹木を守りましょう。お力をお貸しください。お願いいたします。
(沼袋在住 T.K)